【体験談】白血球1万は「ストレスホルモンの直接的な結果」

■ 白血球10,000で「要再検」 ——え?わたしが?

ちょっと昔の話。

フルタイムの時の最後の健康診断。 結果の用紙を開いたら、 白血球数 10,000/μL 「再検査」の文字が。 そこそこ健康に自信があったので、 最初は完全に「えっ、わたしが!?」状態でした。 でも、子どものこともあり数ヶ月後に内科を受診。 再検査をしてきたんです。 で、先生からいただいた一言がこちら。

  「ストレスですね」 ……え。それだけ? 

拍子抜けしたのもつかの間、 「いやいや、なんでストレスで白血球が増えるの??」 という疑問がどうにも収まらず、 帰ってから論文を読みあさりました。 今日はそのメモです。  

■ 白血球って、ふだん「半分隠れて」いる 

ここ、私も知らなかったんですが—— 白血球の約半分は、 ふだん血管の内壁にペタッと張りついて待機中。 名前を「縁辺プール」といいます。 健康診断で数えられるのは、 「血管の中を流れている子たち」だけ。 では、ストレスのとき何が起きるか。 副腎から出るコルチゾールというホルモンが、 この待機組を一斉に血流へリリースするんですね。 つまり! 血管の中の白血球の”総数”はそのままでも、 流れている分が増えるから、 検査の数字だけ跳ね上がる。 私の「10,000」はこれだったのか、と。 うわあ、体、ちゃんと仕事してるなあ。 ストレス研究で知られる Dhabhar さんの論文に、ぴったりの一文がありました。

“stress hormones represent a call to arms and induce the body’s soldiers (immune cells) to leave their barracks (marginated pool, spleen, bone marrow), travel through the boulevards (blood) and take up positions at ongoing or potential battlefields (e.g., skin) during or following stress.”

(訳:ストレスホルモンは「出撃命令」。 体の兵士=免疫細胞を、 兵舎=血管の壁・脾臓・骨髄から出発させ、 大通り=血管を進んで、 戦場=皮膚などに配置につかせる) 出典:Dhabhar FS. Psychoneuroendocrinology (2012) ▶論文リンク 

この論文、大事な定義もしてくれています。 急性ストレス=数分〜数時間で終わるもの 慢性ストレス=数週〜数か月続くもの この2つを分けて考えると、 このあとの話がぐっとわかりやすくなります。 

■ 「ストレスで病気になる」って 結局どういうこと? 

ストレスの信号は、ホルモンのリレーで 体の隅々まで伝わります。 脳(視床下部)→下垂体→副腎皮質。 最後にコルチゾールが出る、 このルートを「HPA軸」と呼びます。 ここ、大事なポイント。 コルチゾール自身は悪者じゃない。 むしろ優秀です。

 血糖も血圧も一気に上げて、 「数分で逃げ切る」ための とても合理的な設計のホルモンなんです。 でもですね。 昔の人のストレスが 「虎に出くわして逃げる」なら、 それって数分で終わる。 いまの私たちのストレス—— 仕事、人間関係、情報過多—— 逃げても終わらない。 ここが問題でして。 慢性ストレスと免疫の関係をまとめた 総説 (Alotiby 2024) には、 こんな一文があります。

“Chronic stress causes an increase in cortisol levels through the HPA axis, ultimately suppressing the immune response.”

(訳:慢性ストレスはHPA軸を介した コルチゾールの増加を引き起こし、 最終的には免疫の働きを抑え込む) 出典:Alotiby A. J Clin Med (2024) ▶論文リンク 

要するに、 

「頑張れ」のホルモンを出し続けると、 免疫のほうが頑張れなくなる。 みたいな、です。

 この総説が紹介していた Cohen らの研究では、 “individuals under high chronic stress conditions were more prone to developing upper respiratory infections” 

慢性ストレスの強い人ほど、 風邪などの上気道感染症をひきやすかった んだとか。 え、それ今季の私のこと…?と思いました。 しかも長いスパンでは、 免疫細胞がコルチゾールに「慣れて」効きにくくなり、 今度は慢性の炎症が残りやすい体へ 変わっていく可能性もある、と。 二段オチじゃないですか。 

■ わたしが決めた「やっていくこと」 

ここまでを、自分用にまとめると。

① まず、正体がわかった 白血球10,000は、コルチゾールによる 白血球の「動員」で説明できる現象だった。

② 再検で戻る人も多い 緊張・睡眠不足・直前の運動でも 同じくらい上がるらしい。 ③ ただし、これは別! 発熱が続く・体重が減る・リンパ節が腫れる、 がそろっていたら話は別。 きちんと診てもらう。

④ 対策の柱は「睡眠・運動・呼吸」 

特に4秒吸って8秒吐く呼吸を、 寝る前の習慣にしてみています。 「ストレスですね」と一言で終わった あの診察は、今ならちょっとわかる気がします。(子どものことや仕事もかなりしんどかった) 「ほかに危ない原因は見当たらない」 という意味も含まれていたのかも。 それでも、 体はちゃんと数値でサインをくれていた。 せっかくのメッセージ。 無視せず受け取って、 最後は皮膚刺激をしてコルチゾールを抑えていきます!(現在は皮膚刺激のおかげで8000くらいに落ち着いています)

体の数値は、敵じゃなくて「伝書鳩」。 無視せず受け取って、 生活を整えるきっかけにもらうのが正解っぽい。

※この記事は体験談と文献メモであり、 医療上の助言ではありません。 数値の変化が続く場合は、 必ず医療機関にご相談ください。 

 ■ 参考にした論文・資料 

・Dhabhar FS. Stress-induced redistribution of immune cells. Psychoneuroendocrinology (2012) ▶PMC3412918 ・Alotiby A. Immunology of Stress: A Review Article. J Clin Med (2024) ▶PMC11546738 ・Cleveland Clinic. Hypothalamic-Pituitary-Adrenal (HPA) Axis ▶Cleveland Clinic ・EBM Consult. Glucocorticoids and White Blood Cell Count Increase ▶EBM Consult

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